2019年9月4日
もう誰からもなめられたくなかった
強くなりたかった
見た目だけでも強く見られたかった
個性的な服を着た
派手な髪色にした
刈り上げてもみた
メイクを濃くした
ピアスもたくさんあけた
ゴツめの指輪も複数つけた
もちろん私の好みでもある
でも私は好みというだけで実行できるような人間ではなかった
なめられたくない
とか
少しでもいいから親に逆らってみたかった
私のちっぽけなプライドが私を動かしたのだ
強がる自由しか知らない
だから強がってみた
でもあの夜
私の強がりはただの強がりでしかなくて
あの程度で私は私を守ることなんて出来やしないのだと
ただの自己満足でしかないのだと
思い知らされた
夜の11時前後に私は一人音楽を聴きながら歩いていた
駅から自宅までのたった10分程度
家からほんの数十メートル離れた細い道を通り過ぎようとする
近づくにつれ暗がりからなんとなく見える人影
その人影は私の歩いている道に合流しようと歩く
こちらを見ている気がしたので知り合いかと思い私も見る
その道沿いの家に住んでるか用がある人以外は誰も通らない
そんな道に知らない男が一人
それでも近所の人だけど私が知らないだけかもと思い目を逸らす
私の目の前まで歩いてくる男
お隣さん家の目の前だった
何か私に言っているようだったが音楽を聴いてて聞こえない
男はイヤホンとってとジェスチャーをした
素直にとると男は「ナンパしていい?」と言った
断ったり無視しても
「今から遊ばない?」
「ラインだけでも教えてよ」
としつこく私に声をかけ続けていた
前に進もうとしても男が私をとおせんぼする
そしてそのまま私を抱きしめた
気持ちが悪かった
怖かった
すぐに突き放して「家、すぐそこなんで」と言うと
男はその場を離れた
本当は家を通り過ぎてしばらくして家に入ろうとした
でも一人でこれ以上いるのは怖かった
男が最初にいた場所は自宅と近すぎてまた通らなくてはならない
またすぐ通るなんて無理だった
それ以来その男は見ていない
でも何故あんな場所に一人でいたのか
確かに人通りは少ないから誰かに通報される心配は少ない
でもそのぶんターゲットになりそうな人が通る確証もない
刃物を持っていたり車が近くになくてよかった
でも私は1ヶ月経った今でも怖いのだ
昼間はだいぶ怖さも薄れてはきたけど
それでもトラウマというのはなかなか消えてはくれない
派手な髪もメイクも服もピアスも暗がりでは見えない
見えていたところでアレでは私を守ることはできなかったと思う
どうしたら強くなれるのだろう
自分の身は自分で守らなくては
何かあってからでは遅い
強がるフリではダメなのだと思い知らされた
でも私は強がるフリしかできやしない
どうしたらいいのだろう
答えはまだ見つからないまま
私は毎日外を出る度に
1人で歩く男の人を見る度にすれ違う度に怯えてる